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Vertex AIが加速するAI開発|AIインフラ高速化・エージェント開発爆増・予測精度30%改善

AIインフラの整備に数週間を要していた時代は、終わりを迎えつつあります。Google Cloudが提供するVertex AIは、2025年後半にAIインフラとエージェント開発環境で大きな進化を遂げ、Forecastingでは2023年の刷新以来、大規模小売での予測精度向上という実績が積み重なっています。本記事では、現場で確認された具体的な数値をもとに、Vertex AIの最前線を整理します。

AIインフラの革新:クラスター展開が「数日」に短縮

AIモデルの開発速度を左右するのは、アルゴリズムだけではありません。何千ものGPUを連携させる大規模クラスターを、いかに素早く立ち上げ、安定稼働させるかも同様に重要です。

Managed Slurmが変えたインフラ調達の常識

Google Cloudは、Vertex AI TrainingにManaged Slurm環境を統合しました。Google公式は、Cluster Directorを含むフルマネージドなSlurm環境によりプロダクション対応環境を数分で作成できると説明しており、アナリストは数千GPU規模クラスターの展開が「数週間から数日」に短縮されると評価しています[1]。従来、大規模クラスターの構築には多くの手動設定が伴い、インフラチームへの依存が避けられませんでした。Managed Slurm導入後は、クラスター管理の大部分が自動化され、研究者やエンジニアがモデル開発そのものに集中できる環境が整いつつあります。

また、Dynamic Workload Schedulerによりコスト最適化も同時に実現します。予約済みのGPUリソースを柔軟に割り当てられるため、プロジェクトのスケジュールに合わせた計算資源の調整が可能です[1]。CoreWeaveやAWS、Azureとの競合が意識された機能強化であることも、業界観察者の間では指摘されています。

自動復旧と最適化されたチェックポイントで稼働率を最大化

大規模分散トレーニングにおける最大のリスクの一つは、学習途中のノード障害です。Vertex AIのCluster Director機能は、障害ノードの検知・交代を自動化し、パフォーマンスが低下した「ストラグラー」の除外も自律的に行います[2]。チェックポイント機能も最適化されており、障害発生時のロールバックコストが大幅に削減されます。

さらに、NVIDIA NeMoフレームワークとの統合により、Gemma 3などの最新モデルへの最適化レシピが提供されます。AIシンガポールがSEA-LION v4の開発にVertex Training Clustersを採用したケースでは、最適化されたトレーニングレシピによってtraining throughput performanceが約30%向上したことが報告されています[2]。

エージェント開発の普及:ADK 累計700万DL突破

「AIエージェントをつくる」ことが、一部の研究者だけの仕事ではなくなりつつあります。2025年4月にGoogle Cloud NEXT 2025で発表されたAgent Development Kit(ADK)は、その象徴的な存在です。

少ないコード量で始められるAIエージェント開発

ADKは、複雑なマルチエージェントシステムをコードファーストのアプローチで構築できるオープンソースフレームワークです。Pythonを使えば、少ないコード量から生産環境で動作するAIエージェントの構築を始められます[3]。Sequential・Parallel・Loopといったワークフローエージェントを組み合わせることで、予測可能なパイプラインを定義でき、必要に応じてLLMによる動的ルーティングも導入できます。

発表から約半年後の2025年9月時点ですでに470万DLを記録し、2025年11月には累計700万DLを突破しました[4]。Python・Java・TypeScript・Goと対応言語が広がっており、バックエンド開発者がすでに使い慣れた言語でエージェント開発に入れるのも普及の要因です。

観測性・評価・ガバナンス機能の整備

エージェントが本番環境に増えるほど、可視性と品質保証の重要性が増します。2025年11月の更新では、Agent Engine runtimeにObservabilityダッシュボードが追加され、トークン使用量・レイテンシ・エラー率をリアルタイムで監視できるようになりました[4]。トレースタブでエージェントの行動シーケンスを可視化でき、本番障害の原因特定が格段に早くなります。

また、評価レイヤーにはユーザーシミュレーターが実装され、メトリクスベース・LLMベース双方の回帰テストが可能です。ガバナンス面では、Cloud IAMとのエージェントID連携と、プロンプトインジェクション攻撃をブロックするModel Armorが導入されました[4]。開発者はGmailアカウントだけで90日間の無料トライアルを開始でき、参入障壁も下がっています。

予測精度30%向上:ビジネスへの実装が証明した価値

AIインフラの進化は、最終的にビジネス成果として問われます。Vertex AIの予測機能については、フランスの大手小売グループの事例が注目されています。

Groupe Casino 450店舗での実証

フランスの小売大手Groupe Casinoは、450店以上のハイパーマーケットの需要予測にVertex AIを導入しました。その結果、予測精度が30%向上し、モデルのトレーニングと実験にかかる時間は従来の4分の1にまで短縮されています[5]。店舗ごと・商品カテゴリごとに最適化されたモデルを構築することで、単純な全社一括モデルでは達成できない精度を実現しました。

特に鮮度管理が重要な生鮮食品では、精度向上が直接、廃棄ロスの削減と品切れ防止に結びつきます[5]。需要予測の改善は、在庫コスト・廃棄コスト・機会損失という三方向に同時に作用するため、ROI(投資対効果)の算出においても効果が明確に現れやすい領域です。

予測の高速化がもたらす意思決定サイクルの変革

トレーニング時間が4分の1になるということは、モデルの仮説検証サイクルが4倍速くなることを意味します。週次の発注業務を支える需要予測モデルであれば、週に一度の更新が日次更新へと移行する可能性も生まれます。Vertex AI Forecastは、新バックエンドにVertex AI Pipelinesを採用し、feature engineering pipelineによる透明性・カスタマイズ性・大規模データでの高速学習を実現しており、データサイエンチストが予測モデルのイテレーションに専念できる環境を提供しています[5]。

さいごに

Vertex AIが近年示した変化は、「AIをつくる時間」を大幅に短縮するという一点に集約されます。大規模クラスターが迅速に立ち上がり、エージェント開発が少ないコードで始められ、需要予測の精度が30%向上する。これらは個別の機能改善ではなく、「AIの開発・実装・改善サイクル」を全体的に加速するための設計上の変化です。

AIをビジネスに活用したい企業にとって、今はその参入コストが急速に下がっているタイミングでもあります。ADKの無料トライアルや、Vertex Trainingの新機能を試す機会として、このタイミングを逃す手はありません。AI競争の本質はモデルの性能だけでなく、「どれだけ速くPDCAを回せるか」にある、ということをVertex AIの進化は示しています。

出典

この記事を書いた人

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Yuji Oe

ソリューションサービス事業部

10年以上の業界経験(主にデータベース分野)を生かし、現在はSmart Generative Chatの導入のプロジェクトマネジメントを中心に活動。

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