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レガシー業務にAIを導入しても無駄|ガートナーが警告するAI失敗の本質

「AIを導入したのに成果が出ない」という悩みを抱える企業が急増しています。エージェンティックAI(自律的に判断・行動するAI)プロジェクトの40%以上が2027年末までにキャンセルされるという調査予測が発表され[1]、AI投資のリターンをめぐる議論はより切実になっています。本記事では、AI導入が成果につながらない本質的な理由を、主要調査機関のデータをもとに掘り下げます。

AI失敗の本質はどこにあるのか

「データ不足」「ROIが不明確」と語られがちなAI失敗ですが、その根本には業務設計の問題が潜んでいるのではないでしょうか。

生成AIが「幻滅の谷」に落ちた理由

2025年のハイプサイクル(技術の成熟度を示す業界指標)において、生成AIは「幻滅の谷」に位置づけられました(ただしAIエージェントはピーク期にあります)。また、スケールアップ(小規模から本格展開への移行)を試みた際にレガシーシステムとの統合で壁に当たり、データガバナンスへの懸念から展開が制限される事例が続出しました。「パイロットプロジェクトを本番環境に移行する課題と格闘する組織が増えるにつれ、AIは”万能薬”とは見なされなくなる」というのが同機関のアナリストの見解です[1]。AIの能力が問題なのではなく、接続先の業務構造こそが問題の本体なのです。

レガシー業務に潜む「判断の空白」

レガシー業務とは、かつての制約——紙帳票や部門間の物理的な距離——に適応した形で設計されたプロセスの集積です。その核心には「人間が文脈を読んで例外処理する」という暗黙の前提が埋め込まれています。同機関はエージェンティックAI予測の中でこう述べています。「レガシーシステムは人間が情報を解釈し判断を下すことを前提に設計されている。エージェンティックシステムには、独立して観察・推論・行動する権限が必要であり、ここに根本的なミスマッチが存在する」[1]。AIがルール化されていない判断の空白に直面すると、処理を止めるか誤った判断を下します。つまり、AI導入が業務設計の欠陥を白日の下にさらすと考えられるのです。

データが示すAI格差の正体

数字を見ると、AIで成果を出している企業と出せていない企業の差が鮮明になります。この格差を生む変数は何か、複数の調査が同じ答えを示しています。

ワークフロー再設計だけが成果を生む

約1,500社を対象とした調査において、25の組織的属性のうちEBIT(税引き前・利払い前利益)へのAI貢献度と最も強く相関したのは「ワークフローの再設計」でした。にもかかわらず、AIを活用していると回答した組織のうち業務プロセスを根本から再設計したのはわずか21%です。88%の組織がAIを何らかの業務に活用しているにもかかわらず、企業全体のEBITに影響が出ているのは39%にとどまり、その大半は影響度5%未満と報告されています。さらに別の分析では、AIチームの「イノベーション時間」の30〜50%がコンプライアンス対応や社内承認待ちに費やされていることも明らかになっています[2]。AI導入を始めたつもりが、実際には業務設計の負債の棚卸しに追われている——これが多くの現場の実態です。

成果を出す企業と出せない企業の境界線

2025年9月に発表された調査では、AIから実質的な成果を出している企業はわずか5%で、残る60%は投資に見合った成果をほとんど得られていません[3]。成果を出している「未来型企業」の行動は明快です。「既存プロセスを自動化するのではなく、コアビジネスのワークフローを根本から作り直し、再発明することに集中している」と報告されています。こうした企業は早期のAI投資リターンをさらなる能力強化に再投資しており、差は複利的に拡大します。一方、技術的な観点からは、多くの企業データアーキテクチャがETLプロセス(データの抽出・変換・読み込み処理)中心に構築されており、AIが文脈を理解して判断できる形式でデータが整備されていないことが根本課題として指摘されています[4]。

さいごに

AI導入が失敗する本質は、技術の限界でも予算不足でもありません。「業務を変えずに成果を得ようとする」という組織の姿勢にあります。AIは鏡です。業務設計が明快であれば成果を増幅し、人間の暗黙知に依存した構造にそのまま接続すれば、判断の空白をあらわにするだけで終わります。

まず取り組むべきは、自社業務フローの棚卸しです。「AIが判断するためのルールが明文化されているか」を問い直し、ワークフローそのものを再設計する意志を持てるかどうか。それがAI投資を成果に変える唯一の変数です。

出典

この記事を書いた人

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Yuji Oe

ソリューションサービス事業部

10年以上の業界経験(主にデータベース分野)を生かし、現在はSmart Generative Chatの導入のプロジェクトマネジメントを中心に活動。

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