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OS×AI統合で明暗 – GoogleのGemini全面展開 vs MicrosoftのCopilot戦略転換

2025年末から2026年初頭にかけて、MicrosoftとGoogleのOS統合AI戦略は対照的な道を歩み始めました。MicrosoftがWindows統合から一歩後退する一方、GoogleはあらゆるデバイスへのGemini展開を加速させています。この明暗を分けた要因は何だったのでしょうか。本記事では、両社の戦略転換から読み解く、OS統合AIの本質的な成功条件を探ります。

MicrosoftのCopilot戦略転換の真相

Windows統合からの後退

MicrosoftはかつてCopilotをWindows 11に深く統合し、OSレベルでの設定変更やシステム制御を可能にすることを大々的に宣伝していました。しかし2024年6月のアップデートで、このOS統合は大きく後退しました[1]。Copilotは単なるWebアプリとなり、Windows設定との連携は失われ、「Win+C」のショートカットキーも廃止されたのです[2]。

この機能後退の背景には、ユーザーからの厳しい評価がありました。実態として、Copilotはサイドバーに表示されるだけの存在で、ユーザーの作業コンテキストやデバイス間のデータ連携へのアクセスは限定的でした。結果として、ブラウザで開くChatGPTやGeminiと何ら変わらない体験しか提供できず、むしろ押し付けられた機能として不評を買っていたのです[1]。

報道によれば、Microsoftは現在「意味をなさない特定のAI機能を合理化、あるいは削除する」として、メモ帳やペイントなどからのCopilot統合撤回を検討しています[3]。このUI統合という表面的なアプローチの失敗は、OS統合AIにとって重要な教訓を残しました。

Microsoft 365エコシステムへの集中

しかし、Microsoftが完全に敗北したわけではありません。同社は、より強力なビジネスデータ統合戦略へと軸足を移しています。2025年9月には全てのMicrosoft 365ユーザーに無料でCopilot Chatを提供開始し、OutlookやWord、Excel、PowerPointなどのアプリ内に統一されたチャット体験を実現しました[4]。

重要なのは、Microsoft 365 CopilotがMicrosoft Graphを通じて、ユーザーのメール、予定表、文書、スプレッドシート、チャット履歴など、膨大なビジネスデータに深くアクセスできる点です[4]。Work IQというインテリジェンスレイヤーを通じて組織データを解析するなどし、それに基づいてパーソナライズされた応答を返せるようになっています[5]。

さらに2025年のアップデートでは「エージェントモード」が導入され、複数ステップのタスクを自律的に実行できるようになりました。ユーザーは「相談相手」から「業務を任せられる存在」へとCopilotの役割が変化しており[6]、Fortune 500企業の90%以上が既にMicrosoft 365 Copilotを利用している実績[7]を武器に、ビジネス市場での優位性を固めています。

GoogleのGemini全面展開戦略

全デバイス統合の野心

Googleの戦略は「全方位データ統合」です。2026年にリリース予定の新OSでは、ChromeOSとAndroidを統合し、PC、スマートフォン、タブレット、自動車、ウェアラブルデバイス全てでGeminiが動作します[8]。これにより、ユーザーの全てのデジタルライフがGeminiのコンテキストとして利用可能になるかもしれません。

Googleのデバイスおよびサービス担当バイスプレジデントは「これまで我々がパソコン向けに構築していたものと、スマートフォン向けに構築しているものは全く別のシステムであった。我々はこれらを統合するプロジェクトに着手している」と語っています[8]。この統合の目的は、ユーザーが個別のアプリを起動するのではなく、やりたいことを全てGeminiに伝えるだけで良い世界を実現することにあります。

AndroidアシスタントからGeminiへの完全移行は当初2025年末の予定でしたが、2026年へと延期されました[9]。これは統合の準備により多くの時間を要するためであり、拙速な展開よりも確実な統合を優先する姿勢の表れと言えるでしょう。

データレイヤーの支配

Android AutoへのGemini統合も2025年5月に発表され、自動車内でもメールから直接場所情報を読み取ってナビゲーションを開始するといった、データを横断した操作が可能になります[10]。これは単なるUI統合ではなく、異なるアプリやサービスのデータをシームレスに連携させる「データレイヤー統合」の好例です。

Googleは、Gemini Nanoというデバイス上で動作する小型モデルも提供しています[11]。これにより、データがデバイスから離れることなく、ネットワークに依存せずプライバシーを保ちながらAI機能を利用できます。クラウドとデバイス上の処理を組み合わせることで、レスポンスの速さとプライバシー保護を両立させる戦略です。

OS統合AIの成否を分けるのは、UIをどれだけ派手に統合するかではなく、どれだけ深く、広く、シームレスにデータを統合できるかです。Googleの全デバイス展開戦略は、まさにこのデータレイヤーの支配を目指したものと言えるでしょう。

さいごに

MicrosoftのWindows統合後退とGoogle の全面展開という対照的な動きから、私たちは重要な教訓を得ることができます。それは、OS統合AIの本質が「UIの支配」ではなく「データの支配」にあるということです。

Microsoftは一度は失敗しましたが、Microsoft 365エコシステムでのビジネスデータ統合という強力な武器を手に入れました。一方のGoogleは、全デバイスのデータを統合することで、ユーザーの完全なデジタルライフを把握しようとしています。両社は異なる領域で「データ主権」の確立を目指しており、2026年はこの競争が本格化する年となるでしょう。

ビジネスパーソンとして、この変化をどう捉えるべきでしょうか。重要なのは、どのエコシステムが自分の業務やライフスタイルに最も適しているかを見極めることです。企業のビジネスデータを重視するならMicrosoft 365 Copilot、全デバイスでのシームレスな体験を求めるならGoogle Geminiという選択肢が見えてきます。AI時代のOS戦略の本質を理解し、自らの働き方改革に活かしていきましょう。

出典

この記事を書いた人

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Yuji Oe

ソリューションサービス事業部

10年以上の業界経験(主にデータベース分野)を生かし、現在はSmart Generative Chatの導入のプロジェクトマネジメントを中心に活動。

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