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AIエージェントとエージェント型AI | 40%失敗する理由をガートナーが警告

エージェント型AIへの期待が高まる一方で、衝撃的な予測が業界を揺るがしています。調査会社ガートナーは、2027年末までに40%以上のエージェント型AIプロジェクトが中止されると発表しました[1]。この警告は、技術の限界を指摘しているのではありません。むしろ、多くの企業が見落としている根本的な問題を浮き彫りにしています。本記事では、AIエージェントとエージェント型AIの違いを明確にしながら、失敗を回避するための実践的なアプローチをご紹介します。

AIエージェントとエージェント型AIの違いとは

市場では「AIエージェント」と「エージェント型AI」という用語が混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。ガートナーによれば、AIエージェントは「デジタルおよびリアルの環境で、状況を知覚し、意思決定を下し、アクションを起こし、目的を達成するためにAI技法を適用する自律的または半自律的なソフトウェア」と定義されます[2]。これに対し、エージェント型AIは「組織のために行動し、自律的に意思決定を下してアクションを起こすために、組織に代わって行動する権利を付与された、目標主導型のソフトウェア・エンティティ」として位置づけられています[2]。

AIエージェントは「実行者」として機能

AIエージェントは、生成AIを頭脳として活用しながら、外部ツールと連携して個別のタスクを完了させる存在です。例えば、顧客からの問い合わせに自動応答するチャットボットや、特定の条件下でデータを収集・分析するシステムなどが該当します。現在の多くのAIエージェントは、RPAの延長として特定業務の高度な自動化に活用されており、ある程度の判断力を持ちながらもシンプルなタスクを自律的に実行する「手組み細工的な存在」として機能しています[2]。

実際のビジネス現場では、営業支援のためのリード管理エージェントや、経理業務における請求書処理エージェント、カスタマーサポートにおける初期対応エージェントなど、特定の目的に特化したAIエージェントが導入され始めています。これらは定型化された業務プロセスの中で、人間の指示や監督のもとで動作することが一般的です。

エージェント型AIは「自律的な組織」として振る舞う

一方、エージェント型AIはAIエージェントよりも包括的かつ進化的な概念として捉えられます。記憶、計画、センシング、ツール利用、ガードレールなどのコンポーネントを備え、複雑なタスクを自律的に目的指向で遂行することが期待されています[2]。IBMの定義によれば、エージェント型AIは「自律的に意思決定を行って行動するように設計され、限られた監督で複雑な目標を追求する能力を持つAIシステム」です[3]。

生成AIがユーザーのインプットに反応するのに対し、エージェント型AIはプロアクティブなアプローチを取り、多様な状況に適応しながら文脈に基づいた意思決定を行います[3]。この自律性の違いが、単なるツールから「組織の一員として機能する存在」への進化を意味しています。ガートナーは、2028年までに日常業務における意思決定の15%がエージェント型AIによって自律的に行われるようになると予測しており、また同年までにエンタープライズソフトウェアの33%にエージェント型AIが組み込まれるとしています[1]。

ガートナーが警告する40%失敗の現実

ガートナーの予測は、エージェント型AI技術そのものを否定するものではありません。実際、同社は別のリリースで「2028年までにブランドの60%がエージェント型AIで一対一の体験を提供する」とも予測しており、長期的には有望と見ています[1]。問題は「使い方を誤ると大量に失敗する」という点にあります。

失敗の三大要因とは

ガートナーが指摘する失敗要因は三つに集約されます。第一にコストのエスカレーション、第二にビジネス価値の不明瞭さ、第三に不十分なリスクコントロールです[1]。特筆すべきは、これらが「モデルの精度が低い」などの技術的理由ではなく、すべて経営と組織の問題であることです。

ガートナーのシニアディレクターアナリストであるアヌシュリー・ヴァーマ氏は「現在のエージェント型AIプロジェクトの多くは、誇大広告に駆り立てられた初期段階の実験や概念実証であり、しばしば誤って適用されている」と指摘しています[1]。さらに、市場には「エージェントウォッシング」と呼ばれる現象が蔓延しており、既存のチャットボットやRPAツールを実質的なエージェント機能なしに「エージェント型AI」として再ブランド化するベンダーが多数存在します。ガートナーの推計では、数千のエージェント型AIベンダーのうち、真に本物の機能を提供しているのはわずか約130社に過ぎません[1]。

コンサルティング会社PwCも2026年のAI予測で、エージェント型AIについて「実世界のベンチマークと明確な価値検証が普及ペースを決める」と述べており、幻想ではなく現実の成果に紐づけることの重要性を強調しています[4]。

組織設計と責任の所在が鍵

エージェント型AI導入における本質的な課題は、技術そのものではなく、組織がAIにどのような役割と権限を与えるかという設計にあります。ある分析によれば、多くの企業は「誰が何をAIに委任し、その結果をどう評価し、どこまで責任を負わせるのか」という委任関係の明確化を行わないまま、最新のエージェント技術だけを先行投入してしまうと指摘されています[5]。

その結果、仕様が膨らみ続けてコストが高騰し、何に効いているのか測れずビジネス価値が不明瞭になり、誰がどこまで責任を取るのか曖昧でリスク管理が機能しません。エージェント型AIは、従来の「命令されたら動くツール」から一歩進んで、ある程度の権限を与えておくと自分で判断して動き続ける存在になることを意味します。しかし、どこまで裁量を持つか、どんな判断は許され、どこからはNGなのか、失敗したとき誰がどこまで責任を負うのかは、AI側ではなく人間側が決める設計問題なのです[5]。

失敗を回避するための実践的アプローチ

エージェント型AIの導入を成功させるには、技術の高度さよりも「何をどう委任するか」の設計成熟度が重要です。PwCは、ビジネス価値を最大化するために、トップリーダーシップがいくつかの重点領域を選定し、集中的なAI投資を行うべきだと提言しています[4]。

明確な価値定義から始める導入プロセス

ガートナーは、エージェント型AIを追求すべきなのは、明確な価値やROIを提供できる場所に限定すべきだと推奨しています[1]。レガシーシステムへのエージェント統合は技術的に複雑で、ワークフローを混乱させ、コストのかかる修正を必要とする場合が多いためです。多くのケースでは、エージェント型AIでワークフローをゼロから再構築することが、成功への理想的な道筋となります。

ヴァーマ氏は「エージェント型AIから真の価値を得るには、組織は個々のタスクの補完ではなく、企業の生産性に焦点を当てる必要がある」と述べています[1]。具体的には、意思決定が必要な場合にAIエージェントを使用し、ルーチンワークフローには自動化を、シンプルな情報検索にはアシスタントを使うといった使い分けが推奨されます。

権限と責任の明文化が成功の鍵

ある分析では、エージェント型AIのPoCを始める前に、AIの役割と責任範囲を明文化することが推奨されています[5]。これには、エージェントのミッションと目標、委任する具体的な決定・行動の範囲、必ず人間がレビューすべき判断領域、成果を測るKPIとそのビジネス価値への紐づき、失敗時のエスカレーションと責任分界、ガバナンス上のチェックポイントなどを含めます。

実世界のベンチマークで価値を証明

PwCが強調する「実世界のベンチマーク」は、明確な設計とセットで初めて意味を持ちます[4]。どのプロセスのどの決定をエージェントに委ねるのか、その決定が改善されるとどのKPIにどれだけインパクトが出るのかを設計しないかぎり、ベンチマークも作れません。企業は、スライドのデモや概念実証ではなく、現場レベルの実世界のベンチマークと明確な価値指標によって初めて本格採用の段階に入ることができます[4]。

PwCはまた、リーダーシップが重点領域を選定し、適切な「企業の力」――人材、技術リソース、変更管理――を適用することの重要性も指摘しています[4]。これは、AIスタジオと呼ばれる中央集権的なハブを通じて実行されることが多く、再利用可能な技術コンポーネント、ユースケース評価のためのフレームワーク、テスト用サンドボックス、展開プロトコル、熟練した人材などを統合します。

さいごに

エージェント型AIの大量失敗は、技術の問題ではなく組織設計の問題です。ある分析によれば、AIを「新しい部下」や「権限ある主体」としてではなく、旧来の組織・ガバナンスの枠内に押し込んだ「高性能ツール」として扱ってしまうことが、失敗の根本原因となっていると指摘されています[5]。

今後、エージェント型AIが真価を発揮するには、企業が権限と責任の所在を明確に設計し、実世界のベンチマークで価値を証明していく必要があります。ガートナーは、エージェント型AIが成熟するにつれて、標準化されたプロトコルとフレームワークがシームレスな相互運用性を可能にし、エージェントが環境を感知し、プロジェクトを調整し、幅広いビジネスシナリオをサポートできるようになると予測しています[1]。技術の進化を追いかけるだけでなく、組織設計をアップデートすることが、AI共生時代を生き抜く鍵となるでしょう。

出典

この記事を書いた人

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Yuji Oe

ソリューションサービス事業部

10年以上の業界経験(主にデータベース分野)を生かし、現在はSmart Generative Chatの導入のプロジェクトマネジメントを中心に活動。

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