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【2026年版】CES 2025レポート:NVIDIA・Claude・日本企業のAI共存社会ロードマップ

2025年1月、ラスベガスのCES 2025でJensen Huang氏が「Physical AI」の時代到来を宣言しました。しかし、この発表が示す本質は、AIの進化そのものではありません。

NVIDIAが提供する計算基盤も、Anthropicの安全な推論エンジンも、それ単体では人間社会に到達できないのです。2026年のAI共存社会を左右するのは、これらの「知性」を人が信頼できる形に統合する力、つまり日本企業が持つモビリティ統合能力だと言えます。

Physical AIが求める「身体」とは

NVIDIAの計算基盤とその限界

NVIDIAはCES 2025で野心的なビジョンを示しました。3,000ドルで1ペタフロップの計算能力を実現するProject DIGITSや、世界基盤モデルCosmosのオープンソース公開です。Jensen Huang氏は「ロボティクスにとってのChatGPTモーメントはすぐそこにある」と断言しました[1]。

しかし、NVIDIAの戦略を精査すると興味深い空白が見えてきます。同社はGPUという「脳」とCosmosという「想像力」を提供しますが、これらを搭載する「身体」—自動車、ロボット、家電—は提供しません。NVIDIAの自動車事業売上約50億ドルの見込みは、すべてパートナー企業への半導体・ソフトウェア供給から生まれるものです[1]。

CES 2025で発表されたNVIDIAの主要パートナーには、トヨタ、オーロラ・イノベーション、コンチネンタル、メルセデス・ベンツなどの自動車メーカーが名を連ねます[2]。これらの企業がNVIDIAの技術を「身体化」し、消費者に届ける役割を担います。つまり、NVIDIAの50兆ドル規模の製造・物流産業への影響力は、この「身体化パートナー」なしには実現しないのです[1]。

Anthropicが選んだ日本という市場

AnthropicはCES 2025に直接出展しませんでしたが、2025年を通じて急速に「身体」への接近を開始しました。最も注目すべきは2025年10月の東京オフィス開設です。これはアジア太平洋地域初の拠点であり、同地域の売上は前年比10倍に成長しています[3]。

CEOのDario Amodei氏は高市早苗首相と会談し、日本AI安全研究所との協力覚書を締結しました[3]。この動きは単なる市場拡大ではなく、製造業の集積と「ロボットとの共存」に対する文化的受容性を持つ日本市場への戦略的接近と読めます。

CES 2025での重要な発表として、PanasonicによるClaude採用がありました[4]。新ブランド「Umi」ウェルネスプラットフォームは、Panasonic Wellとして初めてClaudeを搭載します[4]。これはAnthropicにとって、家電という「身体」を通じて一般消費者に到達する初のルートとなり得ます。

日本企業が握るモビリティ統合の優位性

Sony Honda MobilityとToyotaの戦略

Sony Honda MobilityのAFEELA 1は、AI統合の象徴的存在です。89,900ドルから、2026年中頃カリフォルニアで発売予定のこの車両は、800 TOPSの計算能力と40個のセンサー(カメラ18、LiDAR 1、レーダー9、超音波12)を搭載します[5]。注目すべきは「AFEELA Personal Agent」と呼ばれるAIコンパニオンが、単なる自動運転機能ではなく「相棒」として設計されている点です[5]。

CEO水野泰秀氏の「AFEELA 1は”buddy”と呼べる」という発言は、日本企業特有の設計哲学を示しています[5]。AIを道具ではなくパートナーとして位置づけるこのアプローチは、ASIMOを生んだ文化的土壌に根差しているのです。

Toyotaは富士山麓のWoven Cityで、この「身体化」をさらに大規模に展開します。Phase 1が完成し、2025年秋に最初の100人が入居予定です[6]。最終的に2,000人が暮らすこの都市では、自動運転車、配送ロボット、AIアシスタントが日常的に人間と共存します[6]。豊田章男会長は「私たちはAIを使って、人々がWoven Cityとバーチャルに交流できるようにすることを目指している」と述べています[6]。

Hondaの内製化への挑戦

Hondaの戦略はさらに踏み込んだものです。新型0 Seriesに搭載されるASIMO OSは、ヒューマノイドロボットASIMOの遺産を継承し、「人間の意図と外部環境を理解する」という設計思想を自動車に移植します[7]。これは単なる技術移転ではなく、ロボティクスとモビリティの融合を意味します。

さらに重要なのは、HondaがRenesasと共同で2,000 TOPSのAIチップを2020年代後半に実現する計画です[7]。これはNVIDIAのDRIVE Thorに匹敵する処理能力を、日本企業連合で内製化する試みと言えます。McKinseyの調査によれば、AIから有意なEBIT改善を実現している企業はわずか6%にすぎません[8]。この「AI価値実現ギャップ」の原因の一つは、AIを実際の製品に統合する能力の不足です。Hondaの内製化戦略は、この課題への直接的な回答となっています。

規制環境も日本企業の優位性を後押しします。EU AI Actは2026年8月に全面適用され、違反には最大3,500万ユーロまたはグローバル売上の7%という制裁が科されます[9]。一方、日本は2026年度から1兆円規模の5カ年投資を開始し、国産基盤モデルの開発を推進します[10]。この規制環境の差異は、品質管理で世界をリードする日本企業にとって有利に働くでしょう。

さいごに

2026年のAI共存社会において、最も重要な役割を果たすのは、最も高性能なAIを持つ企業でも、最も多くのGPUを持つ企業でもありません。AIという「知性」を、人間が信頼し日常的に使用できる「身体」に統合できる企業です。

NVIDIAはCosmosを無償公開し、Toyotaとのパートナーシップを発表しました[1][2]。AnthropicはPanasonicと提携し、東京に拠点を構えました[3][4]。これらの動きが示すのは、「身体化」がボトルネックであるという認識です。そして日本企業は、AFEELA、Woven City、ASIMO OSを通じて、この「最後の1マイル」を静かに、しかし決定的に握りつつあります。あなたの企業は、この三者構造のどこに位置し、どのような役割を果たせるでしょうか。

出典

この記事を書いた人

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Yuji Oe

ソリューションサービス事業部

10年以上の業界経験(主にデータベース分野)を生かし、現在はSmart Generative Chatの導入のプロジェクトマネジメントを中心に活動。

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