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テレワーク時代の業務管理術|見える化と信頼を両立する方法

テレワークの定着とともに、「部下が見えない」「仕事ぶりをどう把握するか」という不安を抱えたまま、なんとなく日々を回しているマネジャーは少なくありません。とはいえ、ログ監視や常時オンラインを強いる管理では、信頼もパフォーマンスもじわじわと削られていきます。


公的なガイドラインや大手団体の提言を読み解くと、テレワーク時代の答えは意外なほどシンプルです。それは「時間や行動ではなく、合意した成果と対話を見える化の単位にする」という考え方に集約されます[2][3]。


この記事では、その背景と実務での落とし込み方を整理し、「見える化」と「信頼」を両立させるための具体的な視点と手順を解説します。

テレワーク時代の業務管理の前提を整える

見える化と信頼がぶつかる現場感

テレワークは、非常時の暫定措置から、採用やワーク・ライフ・バランスを支える「当たり前の選択肢」へと位置づけられつつあります[1]。一方で、多くの現場では「顔が見えない」「働いている実感がつかめない」という不安が、管理の方針を揺らしています。


この不安に反応する形で、「ログイン時間」「常時接続」「PC操作ログ」などを必要以上に細かく取ろうとする動きもありますが、これは“見える化”というより“監視化”に近い発想です。監視を強めるほど、部下は「サボり前提で扱われている」と感じやすく、信頼や自律性が損なわれ、かえって生産性やエンゲージメント低下のリスクが高まります。


つまり、テレワークにおける論点は「見える化するか・しないか」ではなく、「何を見える化し、何はあえて見ないのか」という設計の問題だと言えます。

公的ガイドラインが示す「タスク管理」と「成果評価」

厚生労働省のテレワーク関連セミナーでは、「テレワークはタスクで管理し、成果で評価する」というメッセージを読み取ることができます[2]。また、テレワークガイドラインでも、評価は勤務時間の長さだけではなく、職務や成果の達成度を基準とすべきと明記されています[3]。


さらに、導入事例をまとめた資料では、テレワークに合わせて業務をタスク単位に整理し、「何を、いつまでに、どこまで行うか」を明確化することの重要性が強調されています[4]。これは、オフィスにいるかどうかではなく、「合意したアウトプットがどこまで進んだか」を共通のものさしにするという発想です。


要するに、公的な情報は一貫して「監視ではなく、タスクと成果を基準にした見える化」を推奨しており、ここに“信頼と生産性を両立させる鍵”があると読み取れます。

「合意した成果」を単位に見える化する

タスク分解とゴール設定をどう変えるか

「成果で評価する」と言っても、曖昧なままではただの精神論に終わります。まず必要なのは、業務をタスクに分解し、「何を成果とみなすか」を部下と合意するプロセスです[4]。


例えば、「資料作成」ではなく、「誰向けの、どのテーマの、どの粒度の資料を、いつまでに仕上げるか」まで具体化します。そのうえで、量だけでなく「品質基準」も簡単に言語化しておくと、出来栄えをめぐる認識のズレが起きにくくなります。


こうして定義したアウトプットを、個人やチームのタスクボードに一覧化することで、物理的に離れていても「誰が何を担当し、どこまで進んでいるか」が一目で把握できるようになります。ここで見える化の対象になっているのは、“時間の長さ”ではなく“合意した成果”です。

進捗共有のリズムとオンライン会議の設計

タスクと成果を基準にしても、進捗共有のリズムが設計されていなければ、結局「今どこまで進んでいるのか」が分からなくなります。厚生労働省のセミナーでも、テレワーク下では定期的なオンライン会議やチャットを通じた進捗共有が重要とされています[2]。


ポイントは、「細かく詰問する場」にするのではなく、「合意したタスクの進み具合」と「困っていること」「相談したいこと」を短時間で共有する場にすることです。会議では、各メンバーに「完了したこと」「着手中のこと」「助けがほしいこと」の三点を簡潔に話してもらうだけでも、チームの全体像は十分に見えてきます。


このとき、オンライン会議の回数や時間そのものを評価するのではなく、「そこでどれだけ建設的な情報交換と意思決定ができたか」に着目する姿勢が、成果志向の文化を後押しします。

「対話」を軸に信頼を育てるマネジメント

管理職が担うべき三つの役割

テレワーク下での管理職は、「監視者」ではなく、「目標の翻訳者」「障害除去の支援者」「信頼の媒介者」という三つの役割を担うことが求められます。経団連の提言でも、テレワークを通じて生産性とエンゲージメントを高めるには、業務報告とコミュニケーションの仕組みを工夫する必要があると指摘されています[5]。


目標の翻訳者としては、経営目線の大きな目標を、現場メンバーが手を動かせるタスクに落とし込み、優先順位を一緒に整理することが重要です。障害除去の支援者としては、オンライン環境ならではのボトルネック(情報不足、承認の遅れ、ツールの不便さなど)を把握し、先回りして解消していきます。


そして信頼の媒介者として、メンバーの努力や成果をきちんと言語化してフィードバックし、評価プロセスの透明性を高めることが、テレワーク環境での不安感を和らげます。総務省が紹介する資料でも、ポストコロナ時代のテレワークでは、社員の自律と成果評価を組み合わせることが提唱されています[6]。

メンバー側の自己管理と情報発信

一方で、「タスクで管理し、成果で評価する」体制は、メンバー側にも自己管理と情報発信のスキルを求めます。厚生労働省セミナーでは、上司の役割だけでなく、「部下は主体的な自己管理と情報共有を意識すべき」とされています[2]。


具体的には、一日の始まりに、自分のタスクと優先順位を整理し、必要に応じて上司とすり合わせることが挙げられます。また、予定どおりに進まないタスクが出てきた場合には、早めに状況と理由、代替案を共有する姿勢が重要です。


さらに、チャットやオンライン会議で、自分の考えや不安、学びをこまめに発信することで、「何を考え、どう動いているか」が自然と可視化されます。これにより、管理職が行動ログを監視しなくても、信頼と安心感のあるマネジメントが実現しやすくなります。

さいごに

テレワーク業務管理を明日から変える一歩

ここまで見てきたように、公的なガイドラインや大手組織の提言は、「時間や行動の監視」ではなく、「合意した成果と対話」を軸にした管理を求めています[3][5]。テレワーク時代の業務管理は、単にツールを導入する話ではなく、「何を信頼し、何を見える化するのか」という前提のデザインそのものです。


明日からできる一歩として、まずはチームで「今、何を成果とみなすのか」「そのためにどのタスクを、いつまでに行うのか」を共有する場をつくってみてください。そのうえで、オンライン会議やチャットの目的を「監視」ではなく「支援と共有」に置き直すだけでも、メンバーの受け止め方は大きく変わります。


小さな見直しでも、「成果」と「対話」を中心に据えれば、見える化と信頼は両立できる――それが、テレワークを前提とした時代の新しい業務管理のスタンダードになっていくはずです。

信頼ベースの見える化が組織にもたらすもの

テレワーク時代に“見える化”と“信頼”を両立させる唯一の道は、「時間や行動」だけではなく「合意した成果と対話」を可視化の単位にすることです[2][3]。


この考え方を徹底すると、マネジャーは「部下を見張る人」から「成果を一緒につくるパートナー」へと役割をシフトできます。メンバーもまた、「管理される側」から、「成果と情報を主体的に発信するプロフェッショナル」へと意識を変えやすくなります。


その結果として、テレワークは「サボりの温床」という疑念の対象から、「自律と生産性を引き出す、戦略的な働き方の選択肢」へと変わっていきます。自社の現状を一度立ち止まって振り返り、「何を、どう見える化するのか」をこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。

出典

この記事を書いた人

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Yuji Oe

ソリューションサービス事業部

10年以上の業界経験(主にデータベース分野)を生かし、現在はSmart Generative Chatの導入のプロジェクトマネジメントを中心に活動。

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