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レガシーシステムからの脱却とDX実現|段階的モダナイゼーションの最適解

日本企業の多くが、長年使い続けてきた基幹システムの老朽化という課題に直面しています。デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進しようにも、既存システムがボトルネックとなり、思うように進まない企業も少なくありません。本記事では、レガシーシステムからの脱却とDX実現に向けた段階的なアプローチについて、公開データと実践的な戦略を交えながら解説します。

レガシーシステムとDXの現状と課題

レガシーシステムとは何か

レガシーシステムとは、長期間にわたり使用されてきた古い技術基盤で構築されたITシステムを指します。多くの場合、メインフレームやオフコンといった過去の技術で開発され、企業の基幹業務を支えてきました。これらのシステムは安定稼働している一方で、現代のビジネスニーズに対応するための柔軟性を欠いています。

ただし、技術的負債やブラックボックス化が進めば、稼働年数や技術の新旧にかかわらずレガシーと見なされる可能性があります。比較的新しい技術スタックで構築されたWebサイトや業務システムを使っているからといっても、決して他人事とは言えません。

2025年の崖と日本企業の危機

経済産業省が指摘する「2025年の崖」は、日本企業にとって看過できない課題です。NTTドコモビジネスの解説によれば、導入から21年以上経過したシステムは2025年現在、全体の約6割に達していると予測しています。いっぽうでIT人材不足は深刻化しており、約43万人のIT人材が不足しているとしています[1]。

このままレガシーシステムを放置し、DXが進まない場合、2025年以降、最大で年間12兆円もの経済損失が生じる可能性があるとされています[1]。この数字は、日本経済全体に影響を及ぼす規模であり、企業単位での対応だけでなく、産業界全体での取り組みが求められています。

DX推進のためにレガシーシステムを刷新すべき理由

レガシーシステムが生む技術的負債と競争力低下

技術的負債とは、短期的な解決策を積み重ねた結果、長期的にシステムの保守性や拡張性が低下する問題を指します。レガシーシステムでは、つぎはぎのような改修が繰り返され、複雑化が進んでいます。その結果、IT予算の大半が既存システムの維持・運用に費やされ、新規投資に回せる資金が限られてしまうのです。

実際、多くの企業ではIT予算に占める既存システムの保守・運用費が増加傾向にあり、企業の成長投資への資金が圧迫されています[1]。これでは、新しいビジネスモデルの創出やデジタル技術を活用した競争力強化は困難です。市場環境の変化に迅速に対応できず、競合他社に後れを取ることになりかねません。

ブラックボックス化と人材不足のリスク

レガシーシステムの大きな問題の一つが、システムのブラックボックス化です。長年の改修により、誰もシステムの全体像を把握できなくなっている状態を指します。仕様書が不完全であったり、独自のカスタマイズが繰り返されたりした結果、障害発生時の原因究明や影響範囲の特定に膨大な時間を要することになります。

さらに深刻なのは、レガシー技術に精通した技術者の高齢化と退職です。IPA(情報処理推進機構)の各種調査では、IT・デジタル人材の高齢化や若手層の不足が継続的な課題として指摘されています[2]。レガシーシステムを理解し保守できる人材が徐々に減少する中、システム停止のリスクは年々高まっています。

DXに直結するモダナイゼーションの戦略

主要な移行パターンと成功させるポイント

モダナイゼーションには、企業の状況や目的に応じて複数の移行パターンがあります。富士通[3]が整理する代表的な手法としては、以下の3つが挙げられます。

  • リホスト:
    既存のプログラムやロジックを大きく変えず、プラットフォームのみをクラウドなどに置き換える手法。比較的短期間・低リスクでインフラを最新化しやすい。
  • リライト:
    プログラムやロジックは維持しながら、使用している言語やプラットフォームを変更する手法。資産を活かしつつ技術基盤を刷新できる。
  • リビルド:
    既存アプリケーションを、新アーキテクチャやSaaSなどのサービスに置き換え、業務要件から再設計する手法。大きな変革が可能である一方、プロジェクト規模・リスクも大きくなりやすい。

重要なのは、これらの手法を単なるリスク回避のための「守りの刷新」としてではなく、ビジネス競争力強化を目指した「攻めのモダナイゼーション」として位置づけることです[3]。既存データの活用、オープン化、業務標準化などを通じて、効率化と経営改革を同時に推進する必要があります。

段階的な移行ステップとロードマップ策定

モダナイゼーションを成功させるには、一気に全てを刷新するのではなく、段階的なアプローチが効果的です。一般的に、次のようなステップでロードマップが策定されます。

  1. 現状(As-Is)の正確な把握
    • 既存システムの機能・データ・インターフェース・技術要素を棚卸しし、全体像を可視化する。
    • DX推進状況や業務プロセスの現状も併せて整理する[1]。
  2. 目指す姿(To-Be)の明確化
    • ビジネス戦略と整合した将来像を描き、「どの業務をどのレベルまでデジタル化・自動化するか」を定義する。
    • クラウド活用やデータ活用基盤、AIの導入なども含めて検討する。
  3. ギャップ分析と移行シナリオの設計
    • As-IsとTo-Beのギャップを整理し、短期・中期・長期で解消すべき課題を分解する。
    • リホスト/リライト/リビルドなど、どのシステムにどのパターンを適用するかを検討する[3]。
  4. 段階的なロードマップの策定
    • 初期フェーズではリホストや一部機能の切り出しなどリスクの低い施策から着手し、徐々にリライトやリビルドへと踏み込んでいく。
    • 各フェーズでの投資対効果とリスクを評価し、優先順位を付ける。

この過程では、経営層の理解と支援が不可欠であり、全社的な取り組みとして推進する必要があります。

持続可能なDX推進を支えるアーキテクチャと運用体制

エンタープライズアーキテクト組織の役割

DXを持続的に推進するには、組織横断でビジネス推進を担うセンター(CoE: Center of Excellence)の存在が重要です。富士通は、モダナイゼーションの知見を集約し、最適解を現場へ提供する「モダナイゼーションナレッジセンター」というCoEを設置しています[3]。

このようなエンタープライズアーキテクト組織は、次のような役割を担います。

  • 全社視点でのITアーキテクチャ設計・標準化の推進
  • 各部門のDX取り組みの調整・支援
  • ビジネス戦略とIT戦略を橋渡しし、再びサイロ化したシステムが乱立することを防止

これにより、各部門がバラバラにシステムを導入して再び複雑化するリスクを抑えつつ、全社最適の観点からDXを推進できます。

疎結合システムと継続的ガバナンスの重要性

従来のレガシーシステムは、機能が密結合した構造になっており、一部の変更が全体に影響を及ぼすリスクがありました。これに対し、モダナイゼーション後のシステムでは、疎結合なアーキテクチャを採用することが推奨されます。

疎結合とは、システムの各コンポーネントが独立性を保ち、互いに標準化されたインターフェースで接続される設計を指します。この構造により、特定の機能だけを迅速に変更・追加でき、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できるようになります。

加えて、継続的なガバナンスも重要です。アーキテクチャポリシーや開発標準を定め、プロジェクト横断で遵守状況をモニタリングすることで、新たな技術的負債の発生を防ぎ、DX基盤としてのシステムの健全性を維持できます。

レガシーシステム刷新の最新事例とDX成功の秘訣

日本企業のDX成功事例

実際に多くの日本企業がモダナイゼーションを通じてDXを実現しています。特に製造業や金融業では、基幹システムの刷新により業務効率が大幅に向上した事例が報告されています[3]。

これらの企業に共通するのは、次のポイントです。

  • 経営層が主導し、全社プロジェクトとして位置づけていること
  • 単にシステムを新しくするのではなく、業務プロセス自体の見直しとセットで取り組んでいること
  • クラウド活用やデータ分析基盤の整備により、市場投入までの時間短縮や顧客ニーズへの即応力を高めていること[3]

単なる「老朽化対策」ではなく、競争力強化のための投資としてモダナイゼーションを捉える姿勢が、成果の分水嶺になっています。

最新技術・AI活用によるモダナイゼーション

モダナイゼーションの過程では、AI技術の活用も加速しています。特に注目されるのが、生成AIを活用した開発プロセスの効率化です。

富士通は、システムインテグレーションの全領域で生成AI活用を推進しており、モダナイゼーション関連サービスにおいても生成AIを利用した生産性向上とDX推進への貢献を目指しています。

また、600社以上の資産分析実績から得られたノウハウを活かし、ブラックボックス化したレガシー資産を可視化することで、最適なモダナイゼーション計画の策定を支援しています[3]。生成AIと組み合わせることで、従来は膨大な時間を要していた分析・設計作業を大幅に効率化できる点が、大規模プロジェクト成功の重要な要因になりつつあります。

まとめ

レガシーシステムからの脱却は、もはや先送りできない経営課題です。2025年の崖を乗り越え、持続的なDXを実現するためには、段階的かつ計画的なモダナイゼーションが不可欠です。

今こそ、自社のレガシーシステムの現状を正確に把握し、最適なモダナイゼーション戦略を描くことが求められています。適切な移行戦略の選択、組織体制の整備、アーキテクチャ設計、そしてAI等の最新技術活用により、レガシーの制約から解き放たれた、競争力の高い企業への進化が現実のものとなります。

この記事を書いた人

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ma_kanada

ソリューションサービス事業部

株式会社システムサポート フューチャーイノベーション事業本部 ソリューションサービス事業部。Webアプリの設計・開発を数多く手掛け、IoTやAIを利用したアプリケーションの開発に従事。現在はAIを活用したビジネスソリューションの研究・開発に携わっている。

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